*Books*


僕の大好きな100人の作家さんを紹介していきます。
あんまり本とか読まない人も、この書評を読んで本に興味を持ってくれたら
嬉しいかな、なんて思ってます。
同性愛をテーマに書かれた小説もどんどん取り上げて紹介していきます。
とりあげる作家さんとその代表作をあげて、オススメ度を10個の★で評価。
完全に自分の主観で★つけるんで、参考になるかどうかは謎です。
作家さんの紹介、代表作のあらすじ、軽く書評(感想)、他の作品の紹介
という流れでいきます。

は特にお気に入りの作家さん。
は同性愛に関する作品を書いている作家さん。


本屋大賞 2006
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81人目  山田詠美(2009/07/05)


81人目 山田詠美


「姫君」(文春文庫)★★★★★★★★★☆


<山田詠美さん>
明治大学在学中に山田双葉(本名)名義で漫画家としてデビュー。
1981年に大学を中退し、クラブなどでアルバイトをしながら漫画作品を発表。
その後、漫画から小説へと転じ、1985年に「ベッドタイムアイズ」で
文藝賞を受賞し小説家デビュー(同作は芥川賞候補にもなったが落選)
その後も二度芥川賞候補となるがともに落選。
1987年、「ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー」で直木賞を受賞。
2009年現在、芥川賞の選考委員(2003年〜)
正当な評価がされないことが多い芥川賞の選考において、的確な評価をする
選考委員
だと言われている(大森望、豊崎由美談)
また、近年の若手作家には、山田詠美の影響を大きく受けている人が多い。
(綿矢りさ、金原ひとみ、吉田修一など)


<あらすじ>
たとえ、自分が生と死の境に立っていようとも、人は恋をする。
なぜなら……。傷を傷というふうにも表せない男女が魅かれあう
姿を通して、人が人を求める気持ち、言葉にできない寂しさを
描いた五篇を収録。人を愛することで初めて生ずる恐怖、
“聖なる残酷”に彩られた、最高に贅沢な愛と死のシミュレーション。


<感想>
言葉のひとつひとつはとても平易で、その連なりも非常に簡素なのに、
なぜこんなにも心の琴線に触れる、素敵な文章が書けるのだろうか。
単語の選び方、そのつなぎ合わせ方、句読点の位置、どれもが絶妙
これほど自分の肌になじむ文章は他にありません。

文章の上手さ以上に際立っているのが、文章の中身です。
読んでいていつも思わされるのは、「山田詠美にはすべてお見通し
なんだな」ということです。つまり、彼女は「本当のこと」を
よくわかっている
、ということです。

「本当のこと」というのはシンプルである一方、潜在意識下に
隠れてしまいがちなので、文章化することがとても困難です。
でも、それをすんなりと文章化してしまうのが山田詠美で、
そういう文章を目の当たりにするたびに「あぁ、なるほどなぁ」と
ついつい膝を打ってしまいます。

さて、やっと作品の話になりますが、この作品集の中で個人的に
一番好きなのは「MENU」という短編で、当時高校生だった僕に非常に
影響を与えてくれました。主人公の「トキ」という人物を見て、
「あ、なんか少し自分に似てるかも」と思う人は、けっこう多い
のではないかと思います。そういう人には充分に楽しんでもらえる
作品ではないでしょうか。


<そのほかの作品>
「ベッドタイムアイズ」(河出文庫)   ★★★★★★☆☆☆☆
「放課後の音符」(新潮文庫)     ★★★★★★★★☆☆
「ぼくは勉強ができない」(新潮文庫)★★★★★★★★★☆
「A2Z」(講談社文庫)           ★★★★★★★★☆☆
「マグネット」(幻冬舎文庫)      ★★★★★★★☆☆☆
「4U」(幻冬舎文庫)           ★★★★★★★★☆☆
「晩年の子供」(講談社文庫)     ★★★★★★☆☆☆☆
「PAY DAY!!!」(新潮文庫)       ★★★★★★★☆☆☆
「風味絶佳」(文春文庫)        ★★★★★★★★★☆
「無銭優雅」(幻冬舎)         ★★★★★★★☆☆☆
「ソウルミュージック・ラバーズ・オンリー」(新潮文庫)★★★★★★★☆☆☆